2026年7月14日、不登校支援に焦点をあてた「第3回 こども支援者のための まなび&交流ランチミーティング」を開催しました。
本ミーティングは、気仙沼市内でこども支援や居場所づくりに関わる実践者・行政・市議・学校・地域住民等が、分野を越えて出会い、学び合い、協働の可能性を探るための勉強会として企画しています。
第3回目のゲストとしてお迎えしたのは、気仙沼市教育サポートセンターの遠藤弥生さんと、一般社団法人フリースペースつなぎの中村みちよさんです。「気仙沼ガジュマルの会」(※教育サポートセンターの来所者支援室「かなエ〜ル」と「フリースペースつなぎ」の保護者を中心に設立)も一緒に作成した最近作成した『学校に行きづらさを抱える子どもと保護者のためのサポートブック 相談・居場所編』・『学校に行きづらさを抱える子のそばにいる大人のためのサポートブック 親の気持ち編』を基に、気仙沼市における不登校支援の取組みの現状や課題についてお話を伺いました。
登壇者
●遠藤 弥生さん(気仙沼市教育サポートセンター)
●中村 みちよさん(一般社団法人フリースペースつなぎ)
(聞き手)渡邊 国権(けせんぬま子育てコレクティブインパクトプラットフォーム コソダテノミカタ)

行政・民間それぞれの強みを活かした2冊のサポートブック
渡邊: 今回作成されたサポートブックは「相談・居場所編」と「親の気持ち編」の2冊仕立てとなっているのですね。サポートブックの作成の経緯やねらいを聞かせてください。
遠藤:教育サポートセンターの設置(2021年)とともに立ち上がった不登校支援者会議において、気仙沼市内にいる不登校の子どもたちのための居場所を可視化したマップを発行しました(2023年)。その後、保護者の方から「どこに相談したらいいかわからない」「親の会の情報が届きづらい」というような声が上がったことから、もう少し内容を拡充したサポート冊子の企画がスタートしました。
中村:その過程で行政と民間とで話し合いを重ねた結果、それぞれの視点と強みを活かして、行政は「居場所・相談に関わる施設や制度の情報」を、民間は「リアルな保護者の声を元にした、子どもとの関わり方のヒント」などをまとめたものをそれぞれに作った方が、複合的な視点で学校に行きづらさを抱える子どもと家庭を支える冊子になると考えました。

学校に行きづらさを抱える子の現状
渡邊:教育支援センターは、相談対応、学校学習サポーターの派遣、学校内の支援ルーム運営を行うほか、保護者会の開催を通じて相互支援の促進も行っています。フリースペースつなぎは、子ども主体の活動をベースにした居場所を運営するとともに、そこから発展して日用品やお弁当を販売する「つなぎ工房」や親の会といった全体的な支援をされています。学校に行きづらさを抱える子の現状をどのように捉えていますか?
中村:NPO「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が実施した、不登校の子を持つ親の全国アンケートの結果を見ると「学校に行けなくなってしまうと、本当に気持ちが暗くなってしまって、トンネルの中に入ったようだ」とか、気仙沼だと海が近くなので「もう海に飛び込んでしまおうか」とかという本当に切実な声が聞かます。また、「自宅にいる」と回答した人は97%となっていて、気仙沼でもやはり同じようなことが起こってます。「どこにも相談していない」と答えている親御さんは4割に上っています。

サポートブックを誰に届けたい?
渡邊:そんな中、このサポートブックは誰に届き、どんなふうになってほしいと思いますか?
遠藤:やはり困っている親御さんに届けたいというのが一番の願いです。とにかく困っている方がいち早くどこかにつながることができるようにという思いで作りました。
中村:それから困っている先生方にも届けたいなと思っているんです。先生たちもすごく悩んでいるというのを感じるので。

学校・家庭とのつながりと、子どもの心の「回復」
渡邊:家庭や学校と連携していく中で大切にされていることはありますか?
遠藤:顔が見えるようにつながっていくっていうことが、まず大事なことだなと思っています。サポートセンターは、学校と家庭や外部の関係機関をつなぐためのハブになれればいいかな、ということをいつも考えながらやっています。お子さんを中心にしながら、学校には学校の考えがある、保護者には保護者の考えがあるのは当然のことですが、そこに外部の人間が入ることによって新たな視点が生まれるということも、ケース会などをやりながら感じてきています。
渡邊:「親の気持ち編」を読んで印象的だったキーワードが「回復」とか「心のエネルギー」だったのですが、子どもの社会的自立に向かう上で、「心のエネルギー」や「回復」を巡るお考えをお聞かせください。
中村:子どもたちは本当に言いたいことが言えなかったりする。それはなぜかと言ったら、やはり親のことがすごく好きだったり、周りを心配かけたくないという想いからなんですね。自分を責めてることが多いんです。「学校に行けない自分はダメだ」とか「親にも迷惑かけてる、なんなら自分は消えてしまった方がいいんじゃないか」というところまで追い詰められている子どもたちがいて。「いや、そんなことない。そのままでいいよ」というふうに認めてあげながら、自分のことを許してだんだんだんだん元気になって回復していくというプロセスをたどっている子たちが多いです。

支援が届きにくい子どもたちに手を差し伸べる
渡邊:行政と民間がそれぞれに支援を続ける中でも、その間でまだ手が届かない子どももいるのかもしれない、と先ほどのアンケート結果を聞いて思うのですが、お二人は感じていることがありますか?
遠藤:学校に行けない、つなぎにもかなエ~ルにも来れない、というお子さんたちが地域にいるだろうなと思っています。お母さんは連れて来たい、でも子どもが車から降りない、というケースもあります。親がその時に「どうしてうちの子は行けないのかしら」と思っちゃうとまた子どもは傷ついちゃうんですね。だからそういう時にわたしは「よく来たね。でも無理しなくていいよ。また来れる時においでね」と明るく言います。そうすると半年後とか1年後とかにまた来てくれるということもありました。
中村:こうして地域の居場所のみなさんが支援してくださるのと一緒に、いろんな世代の方々を巻き込みながらあったかく見守ってもらえる場所にその子なりの育ちがあるというところを分かってもらえるといいなと思っています。

おわりに
お二人の話を聞いた後には、会場の隣室で運営されている「かなエ~ル」を参加者のみなさんと見学しました。顔の見える関係の中で、お互いに自分たちにできることを交わし合い、どんなことをしていけたらいいか、といった対話を重ねていきたいと感じる機会でした。
コソダテノミカタでは、今後もこうした学びと交流の場を継続し、気仙沼でこども支援に関わる実践者同士がつながり、それぞれの活動がより豊かに広がっていくきっかけをつくっていきたいと思います。
ご登壇いただいた遠藤さん、中村さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。









