2026年6月30日、こども食堂に焦点をあてた「第2回 こども支援者のための まなび&交流ランチミーティング」を開催しました。
本ミーティングは、気仙沼市内で子ども支援や居場所づくりに関わる実践者・行政・市議・学校・地域住民等が、分野を越えて出会い、学び合い、協働の可能性を探るための勉強会として企画しています。
第2回目のゲストとしてお迎えしたのは、東北で最も古いフードバンクであるふうどばんく東北AGAIN(あがいん)の髙橋 尚子さんと、気仙沼でこども食堂を運営し、市内のこども食堂を運営している団体に食材を届ける活動もしている半沢 裕子さんです。それぞれの取り組みや宮城県のこども食堂の現状と、「みやぎこども食堂ネットワーク」の役割についてお話を伺いました。
登壇者
●髙橋 尚子さん(NPO法人ふうどばんく東北AGAIN(あがいん) 副代表理事)
●半沢 裕子さん(一般社団法人おりがみ 代表理事)
(聞き手)渡邊 国権(けせんぬま子育てコレクティブインパクトプラットフォーム コソダテノミカタ)

ふうどばんく東北AGAINが取り組んでいること
渡邊: 2018年に設立されたふうどばんく東北AGAIN(以下、あがいん)は、現在どのような活動をされていますか?
髙橋: フードバンク、こども食堂・ひとり親家庭支援、プレーパーク・イベント開催の3つの軸となる事業のほか、駄菓子屋・フードドライブ・「みやぎこども食堂ネットワーク」を運営しています。
私たちが運営するフードバンクの2025年度の総支援重量は214.9トンに達していて、全国的にもかなり多い量です。宮城県内だけでなく東北各地の連携団体と結ぶ「ロジスティクス・ハブ(物流ネットワークの拠点)」として活動しています。2026年4月からフードバンク認証制度が始まったことで各こども食堂団体の食品管理がかなり厳しくなりましたが、フードバンク認証を取得することで企業からの信用が高まり、食材の寄贈増加につながると考えています。
「みやぎこども食堂ネットワーク」には113団体(2025年10月現在)が加盟しています。(県内には約200ヶ所のこども食堂があるといわれています)。あがいんが宮城県子ども・家庭支援課から事務局業務を委託され、宮城生協と共同事務局を運営しています。物流機能がしっかりしているのが特徴で、全国から視察に来ていただく機会も多くあります。また、2021年の立ち上げ時から、「こども食堂(加盟団体)」と「応援者(企業や個人などの支援者)」が、寄贈品(食材など)のやり取りを直接行う寄贈品マッチングアプリを導入しています。

こども食堂『OGARU』の運営
渡邊:子どもを連れて行きやすいカフェを運営していたおりがみが、こども食堂『OGARU』を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
半沢: 自分たちがカフェの運営や子どもに関わる中で、「子どもが小学4年生になったら学童保育で預かってもらえなくなる。1人で家に置いておくのは心細いしどうしよう」というリアルな声をポロポロと聞いたことでした。私たちの拠点が鹿折小学校から徒歩5分のところにあったため、「じゃあ、うちで預かってごはんくらい食べさせられるよ」と、小中学生メインのこども食堂を始めました。
最初は食材をどう集めていいかもわかりませんでしたが、市役所に相談して気仙沼のフードバンクさんを紹介していただき、そこからあがいんさんの存在を教えてもらいました。ネットワークがあることで、助成金の情報が入ったり、子どもたちに提供できるものが増えたりと、とても助かっています。

食材を届け続ける難しさとネットワークの必要性
渡邊:半沢さんは、市内の他のこども食堂へ食材を届けるコーディネーターのような動きもされていますよね?
半沢: はい。年に1回、あがいんさんや気仙沼市内「Qちゃん食堂」さんはじめその他の団体と会議をするのですが、その中で「(遠方まで食材を)取りに行くのが難しい」「タイミングが合わない」「マッチングアプリの操作が難しい」という声がありました。そこで、私があがいんさんのところ(仙台・富谷方面)へ行った際に皆さんの食材もまとめて受け取り、気仙沼に戻ってから各団体に連絡して引き渡すというハブの役割を提案し、今も実践しています。
ただ、これを個人で続けていくには(交通費や労力など)限界も感じています。市内の各団体が繋がるためのネットワークづくりが必要だと思っています。また、県からの委託や市からの支援として仕組み化することができたらもっと市内のこども食堂団体に食材が行き渡るのではないかと思っています。

こども食堂の輪を広げていくために
渡邊:こども食堂を運営していく上での壁はどんなものがありますか?
髙橋: 県内11カ所で「圏域会議」を開催して悩みを聞いていますが、一番多いのは「資金」・「倉庫」・「配送人員の不足」です。
半沢: ネットワークやつながりがあれば、人手が足りない時に手伝いに行ったり、食材を融通し合ったり、個々の悩みを共有して解決できます。経済的な助成金情報も含め、いろんなものが解消されていくと思います。
渡邊:他地域の参考になる事例はありますか?
髙橋:石巻市には独自の「こども食堂ネットワーク」があり、こども食堂だけでなく子どもの居場所づくり団体も加盟しています。事務局は各団体が1年ごとの持ち回りで担当し、ネットワーク名義で助成金を申請したり、企業との窓口を一本化したりしています。
また、加美町の事例は非常に珍しいもので、町内に1軒もこども食堂がなかったため、行政がこども家庭庁の予算を獲得し、巡回型のこども食堂を始めました。現在は後方支援を社会福祉協議会が引き継ぎ、フォーラムや講演会を開くことで徐々にこども食堂を増やす試みをしています。
半沢:いろいろなつながりを持つことで、新しい視点をもらったり、子どもたちへの支援を何倍にも増やすことができますよね。
渡邊:私たちの支援の先には常に子ども達の未来があると思っています。ぜひ私たちがつながりを持って、話し合いのなかで協働の形を考えていきましょう。

おわりに
今回の勉強会を通して、こども食堂を単に食事提供の場ではなく、子どもたちの居場所であり、保護者支援の拠点であり、地域のつながりを生み出す場として捉えられる視点が発見できました。
キーワードは「つながり」。食材、情報、人手、助成金、行政との連携など、ひとつの団体だけでは難しいことも、地域のネットワークによって解決できる可能性があります。
コソダテノミカタでは、今後もこうした学びと交流の場を継続し、気仙沼でこども支援に関わる実践者同士がつながり、それぞれの活動がより豊かに広がっていくきっかけをつくっていきたいと思います。
ご登壇いただいた髙橋さん、半沢さん、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。








