ミカタのアクション

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子どもの遊び場

子どもたちが自由に冒険できる遊び場を

プレーパークけせんぬま (一般社団法人プレーワーカーズ)

一般社団法人プレーワーカーズは、気仙沼市の田園地帯の民家を借りた施設「aso-bon」(「わくわくけせんぬま」もあり)内で、子どもの遊び場「プレーパークけせんぬま」を運営しています。

プレーパークとは、子どもたちが想像力で工夫して遊びを作り出すことのできる屋外の遊び場で、冒険遊び場とも呼ばれています。

行きたい時に自分で行ける遊び場

プレーパークけせんぬまは、気仙沼市立新城小学校から徒歩10分のところにあります。子どもたちが行きたい時に自分で来られる距離ということを大切に決められました。学校のない土曜日・日曜日の10時~18時まで(※現在は土日のどちらか週1日)開放されています。予約はいりません。子どもにその時の気分を大切にしてほしいからです。

子どもの年齢制限もありません。ひとりでトイレに行けて、その子が「いいよ」と言えば、保護者がいなくても大丈夫(託児ではありません)。もちろん障がいがあっても構いません。

常連の子どもが友達を連れてきたりして、開設後徐々に利用者が増え、2019年はのべ1166人、2020年はのべ1631人の子どもがプレーパークで遊びました。

かたちを変えることのできる遊び場

プレーパークには、作って壊すことができ、子どもも加工できる木製遊具があります。加工するための道具は、自分で手に取って選び、使い終わったら戻せるところにあります。道具の中には肥後守ナイフなどもあり、遊びの中で使い方に慣れていきます。地面掘り放題、水も使い放題。火を使ってみることもOK。その子が今やりたいことをやること、それが遊びだと考えています。

だから、大人から提供するプログラムなどはありません。そこに子どもたちが遊びたいと思うような素材を揃えておくのが、プレーワーカーの役割です。遊びの素材になるのは、たとえば木材・紙・布・毛糸・すべて植物など、そのかたちを変えられるものです。こうして遊びのための場をデザインするプレーワーカーは、ヨーロッパでは国家資格になっています。

親でも先生でもない大人もやってきます。寄付しに来た木材の使われている様子を見に来る人、焚火がしたい人、料理が好きで魚を持ってくる人、草刈りに来てくれるボランティアの人など…子どもを迎えに来たはずのお父さんも、気がつけば焚火の前で話し込んでいる、なんてこともあります。

デンマークではじまり、震災を機に気仙沼へ

プレーパークの取り組みは、1943年デンマークではじまりました。造園家のソーレンセン教授は、子どもたちが爆撃を受けた町の中でガラクタで遊んでいたのを目にし、廃材を使った遊び場の可能性に気づきました。

日本では宮城県出身の大村夫妻が、戦後の貧しい中での豊かな遊びの世界をヒントに、1975年に東京都世田谷区経堂で活動をスタート。住民たちが集まって「あそぼう会」が結成され、「経堂子ども天国」が開設されたのがはじまりです。

気仙沼では、2011年4月、東京のNPO法人日本冒険遊び場づくり協会の被災地支援として、大谷地区に気仙沼あそびーばーができました。同時に「プレーカー」と呼ばれる車に木製遊具とのこぎり・トンカチなどの工作道具を載せてあちこちを回る、移動型遊び場の取り組みもはじまりました。

その後、大谷地区の住民によって「気仙沼あそびーばーの会」が設立され、気仙沼あそびーばーの事業を引き継ぎました。また、東京から支援に来たメンバーが宮城県に移住して、名取を事務所に「一般社団法人プレーワーカーズ」が設立され、移動型遊び場の事業を引き継ぎました。

現在、プレーワーカーズは、名取と気仙沼でプレーパークを運営するほか、災害時に子どもの心のケアのための遊び場を開く支援や、使っていない田んぼなどを活用して遊び場のの立ち上げ支援などを行っています。

日本では自然の少ない都市における遊び場としてはじまったプレーパークですが、災害後の心のケアの面から見ても有効であることが近年わかってきたそうです。

プレイワーカーが国家資格であり、国の予算がプレーパークのために確保されるヨーロッパと違い、日本では持続的にプレーパークを運営していく仕組みづくりが課題になっています。

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遊ぶことをやめたら心が死んでしまう

「今の子ども・子育ての悩みはプレーパークにくれば軽くなるのに」と思うことが多い、とプレーパークけせんぬまを運営する白幡みゆさんは言います。子どもはのびのび遊んでストレス発散できるし、親は子どもから少し離れてお茶を飲んでゆっくり休んでほしい。子育てを支え合える仲間もできますよ、と。

(一社)プレーワーカーズでは、2017年気仙沼市内すべての小学校の児童・親・祖父母を対象に「放課後の子どもの過ごし方3世代アンケート」を配布し、約5,000名の返答を得ました。プレーワーカーズでは、子どもの遊びは時間・空間・仲間で豊かになっていくと考えていますが、その3つの切り口で回答をご紹介します。

時間の面では、学校での授業時間が長くなっていること、宿題や習い事などで、遊ぶ時間が上の世代よりも減ってきていて、平日外で遊ぶ日がゼロ日という回答が2割にものぼりました。

空間面では、家の中で遊ぶという回答が8割に上り、自然の中で遊ぶという声は世代が下るにしたがって減り、今は1割以下だそうです。(外遊び0日が5割!)原因として、まず海や山は日常の遊び場ではなく、公園も道中に歩道が少ないから危険だと行くことが難しい。大人の経験が危険の線引きを決めるため、そうして育った子が親になるころには、その子ども世代は、今よりさらに外で遊びことが少なくなるかもしれません。

仲間という面では、祖父母世代の半数は「遊ぶ友だちが5人以上いた」と回答したのに対し、今の小学生は「遊ぶ友だちがいない」という回答が2割あったと言います。少子化で放課後家に帰ってから遊べる近所の子どもが減ってきたこと、兄弟が減ってきたことなどが背景にあります。

遊びは癒しや満足感や幸福感を与えてくれるものです。それがじゅうぶんにされていない状態は、災害級のストレスだといいます。まったくリラックスできておらず、心身に影響が出るそうです。

遊びは勉強や仕事の余暇ではなくて、食事や睡眠と同じように生きることの根。遊ぶことをやめると心が死んでしまいます。

プレーパークけせんぬまができて、最初に常連になった4、5歳だった子が小学生になってきました。白幡さんはこれから、その子たちの声を聞いて、一緒に遊び場をつくっていきたいと考えています。また、遊ぶ=その子の人権が守られるように、子どもの権利がもっと知られるような取り組みもしていきたいと語ってくれました。

プレーパークけせんぬま (一般社団法人プレーワーカーズ)

子どもの遊び場

住所:〒988-0825 宮城県気仙沼市田尻沢190-3
Tel:022-397-7507
営業時間:土曜日・日曜日※現在土日のどちらか週1日開放(詳細は毎月のチラシをご確認ください)
定休日: 10:00~18:00
設備: aso-bon内
Webサイト:https://peraichi.com/landing_pages/view/purekese/
http://playworkers.org
Facebook:https://facebook.com/tohoku.playworkers/
Instagram:https://Instagram.com/playworkers

取材日
2022/07/22