ミカタのアクション

29

病気・障がい・発達のんびりさんの家族の居場所

家族のように「ホッとできる」空間に 障がいを持つ子の親が集まる「ふぁみりあ」

ふぁみりあ

障害児を育てる親ならではの悩み。それは「親の気持ちや育児について共有する場が少ない」ということ。そんな一人一人の想いに応えようと、「ふぁみりあ」は生まれました。参加者同士が悩みを分かち合い、つながることで、「前を向く勇気と笑顔を持ってほしい」との思いで活動しています。

気持ちの発散、情報交換を目的に 

「悩みは数えきれない。どこかに吐き出さないと、やっていられなかったよね」。障がいを持つ子どもの親が集まる「ふぁみりあ」の代表・佐藤絵里さんと、副代表・小野寺真由美さんは顔を見合わせます。

月1回の週末、公民館などで活動している同会。親がざっくばらんに話をし、じっくり聞き合います。その間、子どもやその兄弟は、市内高校のボランティア部などの学生と遊びます。

学生ボランティアとともに遊ぶ子ども

「障がい児育児のしんどさは千差万別で、計り知れない。でも、同じ境遇にいる者同士であれば、分かり合えることがあるはず。話すことで、少しでもリフレッシュしてもらいたい」と佐藤さんは言います。

会話に持ち上がるのは、漠然とした不安やお困りごと、学校選びなど、多岐にわたります。“先輩”からの体験を交えたアドバイスで、親が胸を撫で下ろす一幕もあるんだとか。

育児に葛藤した2人が立ち上げ 「同じように悩む人がきっといる」

スタートは2013年。佐藤さんと小野寺さんが、共通の知り合いを介して意気投合したことがきっかけでした。

当時は、親子サークルはあっても、障がいの子の親に特化したコミュニティはありませんでした。また、障がいに関する情報をどこから得たら良いか分からず、悩んだとか。出会った時は「聞きたいこと、話したいことだらけ」で、夜が更けるまで話し込むこともあったそう。

「『悩んでいるのは自分だけじゃないんだ』って思えて、とても救われました。そんなふうに話をするうちに、『同じように悩む人がきっといる。気持ちを吐き出せる場所が必要だ』と思ったんです」と、佐藤さんは振り返ります。

支援センター、学生ボランティア… 周囲の支えあっての「ふぁみりあ」  

しかし、いざサークルを立ち上げるとなっても、右も左も分からなかった2人。またサークルができても、日々の通院や家事などの忙しさから手が回りきらない懸念もありました。でもどうにか、1人で悩む親を減らしたい。「当時はとても悩んだ」と佐藤さんは言います。

そんな時、知り合いだった保健師さんを通じて、気仙沼市障害者生活支援センターのセンター長と出会いました。思いを打ち明けると、立ち上げサポートだけでなく、サークルの窓口を引き受けてくれることに。今では、親などからの問い合わせ、学生ボランティアの調整などを、代わりに担ってくれています。

佐藤さんは「活動するうえで、とても助かっています。また、時間を忘れて私たちが話し込めるのも、子どもと思いっきり遊んでくれる学生ボランティアさんがいてこそ。皆さんの支えがあって、運営できています」と話します。

子どもの交流、垣根越え 「ホッとできる」居場所に

親のつながりだけでなく、子どもの交友も広がっています。障害のある子どものほか、その兄弟が参加することも多く、学校や地域、障がいの垣根を超えて、楽しく遊んでいます。

「家族のように気兼ねなく話ができる会でありたい」。そんな願いが込められた「ふぁみりあ」。2人は「ここに来れば、ホッとできる。そんな場になれば」と話していました。

活動情報は、団体Facebookや専用LINEで、確認できます。参加時の予約は不要で、出入りは自由です。

ふぁみりあ

病気・障がい・発達のんびりさんの家族の居場所

問い合わせ先: 0226-24-5161(窓口:気仙沼市民福祉センター「やすらぎ」内 気仙沼市障害者生活支援センター

Facebook:https://m.facebook.com/profile.php?id=100064326714149

Webサイト:https://www.kesennuma.miyagi.jp/kosodate/k007/20200210164735.html

取材日
2022/10/01