ミカタのアクション

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鮪立児童館

唐桑唯一の児童館、親子の“居場所”に 「ママが笑ってないと、子どもも笑えない」

気仙沼市

乳幼児から小学生まで利用 砂場遊びが人気

庭や一室から、リアス式海岸の穏やかな海が見渡せる、気仙沼市唐桑町の鮪立(しびたち)児童館。町内唯一の児童館で、昼下がりになると、ぽつぽつと子どもやその親がやってきます。ここは、親子がほっと一息つける、地域の“居場所”のような場所です。
午前中は主に、保育所に通っていない乳幼児とその親が利用。そのほかの時間帯や週末には、小学生も訪れます。
児童館に通っていた“先輩”が牛乳パックで作った家は、秘密基地のよう。ここでままごとやゲームをする子もいれば、軽運動場でバスケットボールやドッジボールをする子もいます。

特に砂場は、子どもから人気。誰かが砂場で遊び出すと、吸い寄せられるように子どもが集まってきます。山をつくってみたり、掘った場所に水を流してみたりと、泥まみれになるまで遊びます。迎えに来た親が参戦することもあるんだとか。

砂場で水遊びをする子ども

親が一息つける場、唐桑に必要

「母のよう」と地域から慕われている畠山恵美子副館長のもとには、ひとり、ふたり、と人が集まってきます。その明るさや懐の深い人柄から、子どもだけでなく、「なんか最近、疲れちゃって」という親の姿まで見られます。

「子も親も素直な思いをはき出せる場所になれば」と話す畠山さんが、特に心がけているのは、親へのケアだと言います。
「唐桑のママたちはほとんどがお嫁さんで、毎日、誰よりも朝早く起きて、家事をこなしているんです。だからここにいるときだけは、子育てや家事から解放させて、『また頑張ろう』と思ってもらえたら」

「学校では立派を装う子でも、ここでは評価の目を気にしないので『くそばばあ』と言われることも。
ギリギリまで怒りませんけど」と笑う畠山さん

母親クラブ、休息の一助に

館内の母親クラブ「すずらんの会」は、地域の母親自ら講師となり、月に一回のペースでワークショップを行っています。その間は、畠山さんらが子どもを預かっており、「託児で我が子が泣いていても聞こえないほど」の集中力だそう。

畠山さんは、「子どもと離れて、心の余裕をつくることって、案外大切。ママが笑ってないと、子どもも笑えないじゃない。ここにきたら親子が安心できる、“居場所”のような児童館でありたい」と話していました。

気仙沼市

鮪立児童館

住所:〒988-0571 宮城県気仙沼市唐桑町鮪立166−1

営業日:月〜土曜日

※問い合わせ先:0226-32-3189

WEB:https://www.kesennuma.miyagi.jp/sec/s071/index.html

取材日
2022/09/13